東京高等裁判所 昭和30年(ネ)1282号 判決
まず被控訴人主張の訴変更の抗弁について考えるに、控訴代理人は、原審最初の口頭弁論期日たる昭和二九年五月七日に、訴状請求原因第一ないし五項、第七項並びに同日附準備書面に基いて請求原因を陳述したことが明らかであり、これによれば控訴人の本訴において請求原因とするところは、控訴人の所持していた被控訴人振出の約束手形を被控訴人から奪取せられたから、手形金相当の損害賠償を求めるというにあつて、この主張は最後まで変更がない。ただ訴状請求原因第六項においては、控訴人は右のように奪取せられて現在手形を所持しないけれども、手形金の請求をすることができるものとして、手形金の支払を求める旨の記載があるけれども、前記準備書面ではこの点を訂正し、手形の奪取なる不法行為を原因として損害賠償を求める訴に変更し、最初の口頭弁論以来、右訴状第六項記載についてはこれを陳述せず、前記準備書面に基いて陳述しているのであり、準備書面による右訂正は、手形奪取という請求の基礎には変更がないものであるから、この点に関する被控訴人の主張は採用することができない。
(角村 菊池 吉田豊)